信頼はするが、信用はしない
まずは言葉の確認からいきましょう。
信頼…主に人や団体が過去に残した実績や成果を評価すること。
信用…将来的に生じる感情や行動に期待すること。
子どもはまだまだ成長段階です。何事もやらせてみなければ分かりませんし、やってみたら思わぬような成果をあげるときだってあります。
だからこそ、過去の実績にこだわり過ぎて可能性を潰してしまうのには気をつけましょう。
例えば、勉強で自分でやってみようかなと言ったときに、「まだまだ1人ではできないと思うから一緒にやろう」と返してしまっては大切な成長の機会を失ってしまいます。まだまだ1人でやらせるには信用できないから任せられないとなってしまってはいつまでたってもできるようにはなりません。
ですがその逆で、信頼は子どもの成長を加速させます。学級でのリーダーに立候補したり、運動会の応援団の団長をやってみたいと名乗り出たりする場面では、出来るかどうか過去の実績に照らし合わせるのではなく、将来的に出来ると信じて任せることも必要だと思います。
先生をしていると大きな失敗はしたくないからリーダーなどのクラスや学年をまとめていく役割はある程度安心できる子に任せたいものです。ですが、その子に頼れば頼るほど他の子の成長の機会は失われていきます。ときには他の子にも任せる覚悟もいるかもしれません。
初めは一緒に成功体験を積む
「信頼してあなたに任せるよ」では、子どもは上手く成長できません。それは経験値が圧倒的に足りないからです。
例えばリーダーとしてみんなの意見をまとめる話し合いをしたとしましょう。私たちはプロでもあるし大人なので司会をしてクラスの意見をまとめていくのは容易いでしょう。でも、子どもが話し合いで意見をまとめるのはかなり難しいです。それは、相手が同じ子どもであることや、司会進行の段取りの型がないこと、時間配分やどこまでをみんなの総意としてまとまったとみなしてもよいのかなど、不安要素がたくさんあります。
だからこそ初めは一緒に司会を行ったり、一部分を任せたり、日頃から先生が行なっている方法をそっくり真似させたりと、高確率で成功できる成功体験を積ませてあげることがスタートになります。
社会人1年目の営業では、先輩と一緒に営業に行き、契約を獲得する成功体験を積みます。子どもが相手であればそれ以上に丁寧に指導しても損はないと思います。
自信がもてたら独り立ち
ある程度成功体験を積んで自信ができたようならようやく独り立ちさせてあげましょう。
独り立ちといっても必ず私たち大人が見守っています。あまりにも収拾がつかなくてクラスや学年が混乱するようでしたら、最悪手を差し伸べます。ですがそれ以外であれば失敗込みで任せてあげるべきだと思います。
その失敗はきっと本人の成長につながると思います。そのためにも精一杯信頼してあげましょう。
「あなたならきっとできる」「準備をしっかりしたから大丈夫」など、日頃から励まされ信頼されていると感じている子であれば、失敗したときに、その理由を考え改善できます。任せてくれたからこそ、責任の所在が自分にあるので、真っ直ぐに受け止めることができます。
子どもを育てていくには、ときに心配な部分があるかも知れません。でも信頼し任せていくことが増えるようたくさん挑戦させていきたいですね。
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