語彙が乏しい
ここ数年、小学生を指導していて語彙の少なさを感じる場面が多々ありました。
教科書やドリルを音読しているときに「この言葉の意味が分からない!」と声を上げる子や質問する子があまりにも多いのです。
たしかに社会の授業などで新しく習う単元には調べないと意味が分かりにくいものもあるでしょう。ですが、国語や算数の教科書に載っているような内容であれば、おおかた一度は聞いている言葉と思いきや、そうではないということが頻繁にありました。
もちろんそういった児童は言葉の数が圧倒的に不足しているので、作文や感想文ですぐに発覚します。
ある子に書かせたところ…
「今日の校外学習は、友達とバスの中で話したのがとても楽しかったです。また科学館では電気の実験の場所に行って見せてもらってとても楽しかったです。他にも、班でご飯を食べたり、公園で鬼ごっこをしたり、とても楽しい一日でした!」
という感想文でした。見てわかる通り「楽しい」という気持ちを表すときに「楽しい」しか知らないので、同じ言葉が何度も出てきます。またこの子は他の子がもし「楽しい」を別の言葉で表現したら伝わらない可能性もあるのです。
ちなみに語彙が豊かな子が同じような感想文を書いていました。
「今日の校外学習は、初めてバスに乗って出かけました。バスの中では友達とたくさんお話ができてとても楽しかったです。行き先は科学館で僕たちの班は真っ先に電気の実験を見にいきました。実験の内容にとても興味があったので心はうきうきしていました。公園に着いたら班でお弁当を食べました。天気がとても良く風が心地よかったです。帰る前にした鬼ごっこは鬼から逃げるのにハラハラドキドキしました。校外学習は大成功。とても充実した1日になりました!」
内容はほとんど同じですが、伝わり方は全く違います。語彙力の多さは自分が理解する上でも、相手に伝えるためにも必要な能力だといえると思います。
親の言葉
では、我々は何ができるのでしょうか?
それは、子ども達と会話をしたり、本の読み聞かせをしたりして言葉をプレゼントしていくことでしょう。
大人の方がたくさん言葉を知っています。相手が子どもだからときには言葉を選ぶ必要もあるかと思います。でも、日頃の雑談の中でちょっと難しい言葉を使ってみるのもありです。子どもが疑問に思えばその言葉の意味を聞いてくることもあります。聞かれなかったとしてもその話の内容や状況からその言葉の意味を推察することだってあります。
小さいうちからたくさんの言葉に触れていくのがよいかと思われます。
そういった意味では、読み聞かせもかなり効果的です。
本の中にはたくさんの言葉が眠っています。それを読んで聞かせることで新しい言葉に出会える可能性はグッと高くなります。
また幼児期には絵本の読み聞かせは脳にとても良いという研究結果もあります。言葉では足りない部分を絵による視覚的な部分で補ってくれます。
どちらの場合の親のアプローチが必須です。難しく構える必要はありません。ただ我が子と少しだけおしゃべりをするだけです。
その積み重ねが子どもの語彙を豊かにしていきます。
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